四季の花図鑑 
アヤメ科アヤメ属の花

 花の分類は難しく,その中でも昔から紛らわしい花の例えとして「何れアヤメかカキツバタ」と云われています。また,この分類の中にイチハツ,ショウブが入っていますので益々ややこしくなります。それに加えてカキツバタ,ショウブには多くの品種があるのでなかなか見た目では判断できません。以下にそれらの違いを纏めてみました。

名前 寒咲文目 一初(いちはつ) 文目(あやめ) 杜若(かきつばた) 黄菖蒲(きしょうぶ) 花菖蒲(はなしょうぶ) 菖蒲(しょうぶ)
     
生える場所 乾いた場所 乾いた場所 乾いた場所 水中,湿地 水中,湿地 水中,湿地 水中,湿地
開花時期 2月頃から 4月頃から 5月頃から 5月頃から 5月頃から 6月頃から 花は付けない
花の特徴 背が低く
比較的小型の
花のところから
白いもじゃもじゃが
出ている
外花被片に黄色と
紫色の虎斑模様
がある
外花被片の中央か
ら爪部にかけて白
から淡黄色の斑紋
がある
花は黄色
外花被片はの爪
の部分には褐色
がある
色は紫,白,絞りなど
大きいものでは直径 20cm
下方で,系統別に分類しています
花は付けない
★アヤメはワープロ変換すると「菖蒲」となる。また,菖蒲は初夏に茶色の花を咲かせるが,綺麗な花ではないので開花と認めていません。端午の節句にお風呂に入れると良い匂いがするのが「菖蒲」です。花菖蒲とは違います。
★アヤメの仲間に外来のジャーマンアイリス(ドイツアヤメ)があります。
★花菖蒲の花の種類は系統別に江戸系,肥後系,伊勢系に分類され,それぞれ当時の藩主にちなんでの名付けられたそうです。
江戸系 江戸時代に尾張藩主徳川光友が自分の江戸屋敷の庭で観賞するために,
各地の野生の花菖蒲を交配させたのが始まり。
江戸系は多種多様な花菖蒲の縮図的な品種群で,数も多く菖蒲園向きの華やかな品種が多いです。
肥後 江戸時代に肥後藩主細川斎護が松平菖翁より花菖蒲を分与され,
これを熊本に送り改良されたもので江戸花菖蒲の系統にあたる。
豪華で見ごたえのある花は,園芸品として愛好者が最も多く,日本の花菖蒲を代表するものです。
伊勢系 江戸時代に紀州藩士吉井定五郎によって伊勢松阪に持ち込まれたのが始まりです。
伊勢系は独自の改良がなされたもので,江戸・肥後の両品種との関連は明らかでは有りませんない。
本来は鉢植え用であるが,路地植えにも適し雨風にも耐える品種です。