カラーマネージメント(その1)
2.ICC(International Color Consortium)プロファイル
カラーマネージメントシステムでは,ICCプロファイルが大きな役割を果たします。ICCプロファイルはそれぞれのデバイス用に固有に有り,各デバイスの特性が記述され,各デバイスと共通のカラースペース間の変換テーブルです。つまり,ICCプロファイルは各デバイス特性と共通のカラースペース間の補正を行うために使用されます。
ICCプロファイルは,モニタやプリンタなどのハードウエアデバイス用だけでなく,画像データの持つカラースペースや,出力するインクジェット用紙毎のプロファイルもあります。これらのICCプロファイルをカラーマネージメントシステムで正しく利用する事で,データが持っている色彩を各デバイスが表現できる色再現領域内で最大限引き出す事が可能なのです。
現在のカラーマネージメントは
CANON20DのRAW画像で撮影→Adobe Photoshop CS2でRAW画像を現像し,カラースペースはsRGBにてjpeg画像に変換→保管(ICCプロファイルはsRGB IEC62966-2.1)
Adobe Photoshop CS2で画像読み込み→画像のICCプロファイルを利用して共通のカラースペースとなるLab値に変換→モニタ画面の表示には,共通のカラースペースに変換された撮影画像のLab値をモニタのICCプロファイルを利用してモニタの特性に合わせたRGB値に変換して表示→プリンタで印刷する場合には,共通のカラースペースに変換された撮影画像のLab値をプリンタのICCプロファイルを利用してプリンタドライバの特性に合わせたCMYK値に変換して印刷
こうすれば,撮影画像本来の色とモニタ画面の色,印刷した色が非常に近い色になるはずです。
3.カラーマネージメントとプリンタでの印刷
印刷方法を大別すると,[プリンタドライバ独自の色処理],[ICM/ColorSyncカラーマネージメント],[アプリケーションカラーマネージメント]の3つの流れがあります。
(1)プリンタドライバ独自の色処理
もっとも一般的に利用される通常の印刷方法で,カラーマネージメント機能は利用していませんが,エプソン独自のドライバ色処理技術で印刷します。印刷方法としては「EPSON Easy Photo Print」,「EPSON Pro Lab Print」等のソフトが用意されており,簡単に印刷することが出来ますが,モニターの色と完全に合わすことは出来ません。
(2)ICM/ColorSyncカラーマネージメント
WindowsのICMのカラーマネージメントモジュール(CMM)が,Source(入力)側に印刷画像のICCプロファイルを,Destination(出力)側にプリンタのICCプロファイルを利用してカラーマネージメントを行います。こうして印刷画像のRGBをプリンタで再現するCMYKに変換するのです。また,OSのカラーマネージメント機能を利用しているため,モニターと印刷の色を近づけることができます。
(3)アプリケーションカラーマネージメント
Adobe Photoshop等アプリケーションソフト内蔵のカラーマネージメントモジュールが,[ソースカラースペース](入力)側に印刷画像のICCプロファイルを利用して,[プリントカラースペース](出力)側に純正インクジェット用紙のICCプロファイルを利用する印刷方法です。Adobe
Photoshopで印刷する場合は,Photoshopのカラーマネージメント設定で,[ソースカラースペース]に[ファイル](印刷画像のICCプロファイル)を選択し,[プリントカラースペース]に純正インクジェット用紙のICCプロファイルを選択します。この方法で印刷する場合も,各純正インクジェット用紙に最適なインクの吐出量を指定するためユーザがプリンタドライバで[用紙の種類]や[印刷品質]を設定しなければなりません。注意しなければならない事は,アプリケーションカラーマネージメントを利用する時は,プリンタドライバでは色処理を行わない設定にすることです。プリンタドライバの[マッチング方法]を[しない]以外を選んだり,ICMやColorSyncも利用するようなプリンタドライバ設定をしてしまうと再度これらの色処理が加わるため印刷した色がおかしくなってしまいます。