写真展示:列車
上海:磁気浮上形リニアモータカー
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1.リニアモータカーについて
リニアモータを使えば推進力や制動力が車両本体に作用するので,車輪は車両を支持,案内するだけの役割を果たすことになりますが,時速500km/h以上を目指す超高速鉄道や車輪のころがりによる騒音・振動等を少なくしたい場合は,車輪・レール間の接触がない磁気浮上技術などの非接触支持技術を導入して支持車輪をなくすことが必要になります。
リニアモータカーといえば,超電導磁石を用いて浮上する列車を指すことが多いが,リニアモータの駆動力を利用したシステムもリニアモーターカーです。1990年3月に大阪の鶴見緑地線に日本初のリニアモータを利用した交通システムは完成しましたが,磁気浮上形ではなく車体の支持・案内は車輪によって行われておりました。(乗車した感じは普通の地下鉄と同じです。)
今回,乗車した上海のリニアモーターカーは常電導磁気浮上形であり,世界で初めて商用として運行されています。
(1)磁気浮上車両の原理
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通常の電磁石の吸引力を利用して車両を浮上させます。 地上の桁の両サイド下面に鉄心入り常電導コイルを置き,浮上はこのコイルの鉄心と車上の浮上用電磁石との吸引力により,推進は1次側となる常電導コイルと2次側となる車上の界滋用電磁石(浮上用電磁石が兼ねる)との相互作用によって行われる。 浮上高さは約1cmに制御され,1次側となるロングステーターと2次側となる車両の常電導磁石とのギャップを一定に制御して浮上し,ロングステーターの磁界を移動させることにより推進する。 案内は,案内用の電磁石を車両に取り付け,ガイドウェイ側面の鉄レールを吸引することによって行う。 地上1次方式であり,動力用の集電は不要であるが,車両の浮上用,ガイド用コイルを励磁して常電導磁石とするためや補助電源,バックアップ用車上搭載バッテリ等への電気の集電は非接触集電方式を採用している。制御は全て地上側から行われ,運転台は必要ない。左の図は,上海リニアモーターカーの断面図です。 |
(2)構造
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車両側の浮上・推進用電磁石と案内用電磁石は,一つの構造体に取り付けられるモジュール構造となっている。 しかし,浮上・案内兼用方式ではなく,案内のために専用の電磁石を備えている。浮上高さは約10mmで,浮上時のガイドウエイ天端と車体下面の寸法は150mmあり,小さな支障物や雪の上も走行可能です。浮上に必要なエネルギーは空調用以下である。車載バッテリによって外部電源なしで1時間以上浮上可能です。 走行中は浮上コイルの磁極部分に組み込まれたコイルによるリニア発電機で充電される。乗降場などの停止位置にはガイドウエイに設けた給電用レールから受電する。 |
2.上海:磁気浮上形リニアモーターカー乗車
(1)2004年8月の上海出張時に市内から浦東空港までリニアモーターカーに乗る予定でしたが,前日の食事が問題だったのか酷い下痢で乗車を断念してタクシーで空港まで行きました。
(2)9月7日にまたもや上海を訪れる予定があり,浦東空港から市内まで乗る計画をたてました。しかし,当日は台風が日本に近づいているということで,天気は晴天だったのに,関西空港発の10:00発上海行きJAL便は欠航(ANNを含む他社便は欠航ではなかった。JALの組合の問題か?)していました。お陰で,他社便に乗り換える乗客で空港内は大混雑です。やっとの事で出発5分前に,10:35発のJALと中国東方航空の共同運行便の広州行きの座席が確保できました。広州までは4時間かかります。機内アナウンスで「ただいま上海上空通過中です」と放送があり,神経を逆撫でしてくれました。広州で上海行きの国内線に乗り換え,浦東空港に到着したのは午後6時を過ぎていました。またもや,昼間のリニアモーターカーには乗れません。
(3)9月10日 午後の便で大阪に帰る予定だったので,10時過ぎのリニアモーターカーで浦東空港に向かうことにしました。リニアモーターカーは市内への中間点となる滝陽路駅より浦東空港までの約30kmを7分11秒で結んでいます。最高速度は430km/hです。上海市内に宿泊していたので,滝陽路駅までタクシーで行き,念願のリニアモーターカー乗車です。
(4)乗車券は飛行機の航空券を見せると2割引で変えます。初めて乗るので1等車にしました。通常運賃は100元(1350円)ですが,航空券を見せたので80元となりました。乗車の感想を一言で言うと「速いな〜 磁気浮上形にしては騒音が大きく(新幹線よりは静かと思います),振動もかなりある」です。