紫陽花ほど雨に似合う花はありません。嫌な梅雨空をはね飛ばしてくれる花だと思います。ここで,少し紫陽花について解説します。
1.紫陽花の分類
紫陽花は雪の下科の紫陽花属に属するとされてきましたが,最近では紫陽花科紫陽花属に分類される方が多くなっているようです。紫陽花の分類はいろいろと説があり煩雑ですがここでは,紫陽花(紫陽花【日本紫陽花,本紫陽花】,萼(がく)紫陽花,山紫陽花,蝦夷紫陽花)と紫陽花の仲間(玉紫陽花,糊空木:のりうつぎ,蔓紫陽花,小紫陽花など)という分け方とします。
2.紫陽花の形
紫陽花は本来,萼紫陽花のような形が基本ですが私たちがイメージする「紫陽花」は手鞠の形をしたものを想像しやすいようです。
紫陽花の花の形は基本形である萼花で,中心にある小さめの花が両性花といい,結実する花です。一方,周辺にある大きめの花は中性花といい,本当は花弁ではなく萼が変化したものなのです。そして,すべて中性花(萼)で覆われ球状になったものが手毬花という変種になります。その他にも萼花で半球状になったものや,穂状になった花などもあります。
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両性花 | ![]() |
中性花 | ![]() |
手毬花 |
3.紫陽花の「七変化」
紫陽花は6月から7月に,新しい枝の先に直径20cm内外の花房をつくり多数の花(萼)を密につけます。
花のほとんどは装飾花ですが花びらは4,5枚で緑白色から薄紅,濃紫,藍色,又は緑白色から藍色に変化することが多く,俗に紫陽花の色変わり「七変化」と言われます。
この花色の変化は土の酸・アルカリに影響されます。一般には酸性のときは青色に,アルカリ性のときは桃色になることが知られています。
実はもうひとつの要素に肥料の違いもあるのです。
窒素分が少ない肥料を使うと紅色が藤色になり,窒素が多くアルカリが少ないと紅色は強くなり,アルカリが多いと花色が青色に進みます。
4.展示している紫陽花の種類
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紫陽花 | 最も一般的な手毬状の紫陽花。花の色はピンクから青色まで豊富です。 |
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萼紫陽花 | 萼の色がピンクからブルーに変わります。 |
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赤萼紫陽花 | 花心は緑で萼が赤色です。 |
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紅萼紫陽花 | 花心は白で萼が白から紅赤に変わります。 |
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白萼紫陽花 | 萼は白いまま変化しない。 |
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姫紅額紫陽花 | 花心が青色で萼は白から紅赤に変わります。 |
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斑入額紫陽花 | 葉に白い斑が入ります。 |
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柏葉紫陽花 | 葉の形が柏に似ています。花穂は円錐形で他の紫陽花とはかなり 変わっています。 |
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七段花 | 萼紫陽花の大輪で濃青色,紫色であり,花心に緑色が多い。 |
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墨田の花火 | 萼紫陽花でで白花八重咲きです。 |
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小紫陽花 | 紫陽花の仲間では一番早く咲きます。 |
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舞子紫陽花 | 小型の手鞠形山紫陽花です。 |
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東雲 | 半手鞠形で山紫陽花の1種です。 |